凍結ジャック・ニコルソン

某スタートアップ企業で鬱病罹患し事実上クビになり憎悪憤怒憂鬱に塗れ表現創造で解脱目指す

心臓が痛い

これは、マッチングアプリで遭遇した、ある女性への宛てられたものである。フィクションか、実際に起きた出来事かははっきり言えない。ただ、僕の憤りの感情は真実であると思ってもらっていい。

 

最後に「だるい、ごめんなさい」という言葉にしたということは、なぜ僕が憤っているか、理解が及んでいないと思う。だから、こういう風に文章にしてみる。

 

その人をKさんと呼ぼう。2日前くらいからメッセージのやりとりをしていると思う。仕事の話や考え方の話、特に何も違和感もなく気持ち良く楽しく、話をしていた。

 

そのマッチングアプリ上では写真などのやりとりができないという制約があって不便なことからだったり、仲がよくなってきたことを示したりするために、別のソーシャルサービスへ移行してコミュニケーションを続けることもある。Kさんは「こっちで話しませんか?」と提案をしてきた。

 

その人がセックスをする相手を求めているのか、恋人を求めているのか、友人を求めているのか、よくわからなかった。しかし、お互いに聞き合うのも野暮である。そして、話は合っていた気がした。だから、マッチングアプリから抜け出して別のサービスを使ってコミュニケーションを取ることを断る材料はなかった。

 

日が変わってもメッセージのやりとりをしていた。猫の話をしていた。その時に、彼女が話を切り替えた。僕がプロフィールで「親友ができた」と書いていたのである。マッチングアプリで親友ができたのだ。本当に何でも話せるような友人だった。

 

僕は話の流れに合わせていたが、その人が「セックスをするような友人ですか」と聞いてきた。僕は、違う、と答えた。その友人とは一度セックスをした。しかし、セックスフレンドにならないという話し合いをした。だから、本当に仲のいい友人だった。

 

「セックスしたくなりませんか?」と聞いてきた。友達だからならない、と言った。「相手から求められたらのっちゃいますか?」と異様にセックスの話をしたがる。

 

この辺りから少し違和感を覚えた。別にセックスの話をすることは問題ない。数日しか連絡をとってないしこれまでは日常会話だったのに急に距離が近くなったなとは思った。でも、悪い癖で、僕は聞かれたことはいつも真摯に答えようとするから、丁寧に回答していた。そういうつもりだった。

 

「セックスしたくないと言ったら嘘ですよね」と聞いてきた。確かに、性欲というものがあり、その友人とセックスがしたくなる時はあるのかもしれない。でも、今はする気はない、と答えた。

 

そしてここからだ。Kさんが、急に「病気は大丈夫ですか、私は検査に行っています」と言ってきた。一瞬、親切心かとも思った。同時に、なぜこの会話の流れでその発言をしないといけないか、よくわからずモヤッとした。

 

僕はそこまでセックスの経験がある訳ではないが、たしかに、不特定多数の人とセックスをするのであれば検査はした方がいい。2ヶ月くらいで2, 3人とセックスをしていたので、そうですね、検査受けます、みたいに答えた。実際に、僕は不特定多数としてるとは言えないし、検査もしていなかった。

 

ちなみに、ここまでの会話で、セックス以外の話へ切り替える地点が何度もあった。それでも「セックスフレンドですか」「セックスしたならセックスフレンドにならないのですか」「誘われたらセックスしますか」など執拗にセックスの話をしたことは、皆さんにわかってもらいたい。なぜか、この話をしたがっているみたいだった。

 

さらにここからが僕の憤りの発端である。「私不特定多数の人としてる人無理なんです...」と言い出した。僕はこの発言の意図が全くわからなかった。

 

もし、Kさんがセックスする相手を探していたのなら、すぐにそう言えばいい。「実はセックスする相手を探しているが、あなたが不特定多数と人とセックスしていると推論できたので、もうあなたとは会えない」と言えばいい。もしくは、メッセージのやり取りをしている媒体には、相手と連絡を取れないようにする拒絶機能がある。それを使えばいい。それでメッセージのやり取りができなくなる。

 

もし友人を探しているなら、わざわざそんな話の方向性に固執せず、話を切り替えればいい。もし友人であっても、不特定多数と人とセックスをしている人が人間として受け付けないなら、同じく拒絶機能を使えばいい。

 

にもかかわらず、「セックスフレンド数人いる人は無理」「人間として受け付けない」「不特定多数の人とセックスする人は本当に無理」「一定期間中に何度もセックスする人ってこわいですよね」と繰り返し僕に伝えてきた。この時点で僕は、この人が何をしたいのかが全くわからなくなっていた。

 

ちなみに、この時点で僕は不特定多数とセックスしているなんて一言も言っていない。恐らく、会った日にセックスをした話をしたから僕に何かしらのイメージを貼り付けたのかもしれない。(僕は、別に不特定多数の人とセックスをすることが悪いとも全く思っていない。)

 

そういう意見があるのは理解できる。過去に嫌な出来事があったらしい。でも、ならそれを避ければいい。僕と話を切ってしまって、コミュニケーションができないような設定にしてしまえばいい。不特定多数とセックスするような人を避けてしまえばいい。

 

なぜ、人間性を否定する必要があるのか。なぜ、人間としての存在意義を疑って、さらにそれをわざわざ人に明言する必要があるのか。しかも、会ってもないし、メッセージのやり取りをして、数日しか経っていない相手にである。

 

なぜ、攻めるように、僕の人間性を否定するかのように、言葉を投げつけないといけないのか。なぜ、マッチングアプリからわざわざ別のコミュニケーションツールへ移動して、それ自体が気持ち良く会話ができていて協調性を継続しましょうという兆候であるにも関わらず、会話の流れを意図的にセックスの方へ持っていき、さらにある特定のグループの人間性を否定する、攻撃的な言葉を発せないといけないのか。

 

繰り返しになるが、過去の出来事で、ある属性の人全体が、他の要素がどうなのかは全く関係なく、嫌いになるのは理解できる。そこにロジックは通用しない。へばりついたエモーションは取れない。それは本当に理解できる。

 

ただ、なぜわざわざ、マッチングアプリで出会って、まだ心理的距離も近くなっていない、メッセージを何度か交換しただけの相手に向かって言う必要があるのだろうか。

 

Kさんは「会話の流れで」としか言わない。しかし、猫の話から、急に友人の話に切り替える言語力があるのなら、嫌なことについて話さない能力もあるだろう。それを、なぜ僕に向かって執拗に、恐らく、6度か7度くらい、人間性を否定するような嫌悪感を示さないといけないのか、全くもって理解が及ばなかった。

 

何とか理解しようと、何度か質問も投げかけてみた。僕もすでに憤り始めていたので、優しい質問の仕方ではなかったかもしれない。しかし、Kさんは論点をずらして、「じゃああなたが不特定多数と人とセックスしてるってことですか」と質問をしてくる。それは論点でない。

 

もしそれをそんなに気にするなら、メッセージのやり取りなんてやめてしまえばいい。論点は、心地よく言葉の交換をして親睦を深めようと試みていたのにも関わらず、マッチングアプリで出会ってまだ心理的距離も近くなっていない、メッセージを何度か交換しただけの相手に向かって、ある特定のグループの人間性を否定する発言を繰り返しするのか、である。

 

理解しようとコミュニケーションをとってみたが、恐らくKさんは、なぜ僕がここまで憤っているか理解できていないようだ。正直、僕もこんなに精神を消耗する必要もないと疲れ始めていた。僕だって無視してしまうことができた。

 

でも、ある特定のグループの人間性を繰り返し否定する態度が許せなかった。嫌なら話さなければいい。嫌なら避ければいい。なぜわざわざ議題のテーブルにのっけて、何度も何度も明示的に人間の存在価値を否定するのか、それが解せなかった。

 

僕は今心臓が痛い。

 

最後に、なぜマッチングアプリをしているのか質問したが、それから返信が来ない。ここまで人の心を蝕んでおいて、説明に欠けるのは納得がいかない。人というのは時に無情である。

 

僕の知識が不足しているのだろうか。僕に共感が欠けているのだろうか。人間性を否定されるべき人間がいるべきなのだろうか。

 

僕はこの人とは一生連絡をしないと思う。もう、メッセージのやり取りができないように設定の変更を行おうと思う。それでも、少し心残りだ。仲良くなれると思ったのに。でも、僕は、人の存在価値を否定する発言をする人間が嫌いだ。だから仕方ない。この憤りは真実なのだと思う。

 

文章を書くことで少しばかり気持ちが楽になった。文章にしないといけないと思った。文章にして良かったと思う。

 

心臓が熱い。心臓が痛い。今日眠れるか、少し心配だ。