凍結ジャック・ニコルソン

某スタートアップ企業で鬱病罹患し事実上クビになり憎悪憤怒憂鬱に塗れ表現創造で解脱目指す

ツイッターで裏垢を始めた理由

僕は裏垢というものをツイッターで始めた。「裏垢」の意味は誰にも分からない。ただ、他にメインらしきアカウントがあり、そこでは「チンチン」「セックス」と呟かない。じゃあ裏垢では「チンチン」「セックス」と呟いているだけかというと、そうでもない。

 

困ったもんだ。僕が裏垢を始めた理由はセックスをするためなのだ。僕はティンダーをしており、記憶ではその年はセックスができていた。必死だったのだ。毎晩スワイプし、毎晩マッチを解除され、毎晩興味のない議題についてメッセージのやり取りをした。当たり前だが、鬼の数上手くいかなかった。それでも、セックスができていた。

 

しかし、2022年6月19日を境に、セックスができなくなった。当時僕はポテサラさん(仮名)と関係があった。3ヶ月くらい、セックスしたりデートしたりしていたのだ。告白しようが迷ったくらいだ。そして「もうセックスできない。元彼が気になるし、もう一回トライしてみたい」とのことだった。

 

あちゃーっとなった。そしてそれからセックスをしていない。僕は今30歳だが、30歳って、みんなセックスしているのだろうか。よく分からんが、性欲盛んな男にとって、1年セックスをしていないというのは、びっくり仰天なのだ。

 

という風に書くと、僕がセックスをよくしていたのでは、と勘違いされるが、ティンダーを始める前は、数年間誰とも関係がなかった。当時の彼女と別れたから、多分3、4年セックスをしていない。AVは観てたから想いはあったが、行動に移せるほどの興味や勇気がなかった。

 

そう、ポテサラさん(仮名)との関係が終わり、その後ティンダーを触るが上手くいかず、なぜかツイッターにたどり着いた。なぜツイッターにたどり着いたか、よく覚えていない。多分だが「セックス したい」みたいにグーグルで検索して、色々なマッチングアプリ、ナンパとともに、ツイッターが出てきた気がする。

 

そして、裏垢というものを使った。僕の本当のアイデンティティと紐づく記号はあまり使わず、表では表出しない言論を使い始めた。つまり「セックス」「チンチン」と呟き始めた。

 

当初、ツイッター上で検索すると「◯ㇷパコ募集中♡」みたいなアカウントを沢山見つけ、テンションが月まで飛んでいったのを覚えている。「え、セックスできんじゃん」と思い、知らない人にDMを複数送る。返信がなく終わったが、すぐ後に間違いだと気付く。そう、間違いだと気付くまで少し時間がかかることを考えると、僕がモテてこなかったのは分かるだろう。

 

そうして、結局セックスできておらず1年。セックスをしたくて始めたツイッターで、セックスと全く関係のない政治やビジネスや社会など(中田敦彦がどうとか、トランスジェンダーがどうとか、モテ論がどうとか、ベンチャー企業がどうとか、Z世代がどうとか)様々な議題についてイチイチ反応して場合によってはイチイチ何か言わないと気が落ち着かないという、本末転倒な状態なのだ。

 

そして、2日に一回くらい思い出す。「僕はセックスをするためにツイッターを始めたのだ」と。モテるコツ、女性心理、セックスのNGなこと、そういった類の情報を武器にするつもりだったのだ。それを思い出してほんの少しだけ哀愁に浸り、そしてまたツイートする。「チンチン」と。